絵手紙素人考 絵手紙文化の生き残りは?

日本経済新聞の日曜日終面に言語学者井上史雄氏の連載コラム「現代ことば考」があります。ここ何回か郵便番号や名刺についての考察が載っています。最近の名刺を引き合いに出し、文字による通信はメールに頼り、郵便のやりとりは考えない時代になった、とあります。そういえばクラフト関係の若い作り手の名刺には住所や電話番号が記されていないものも結構あります。

先日、第一線から身を引いた元会社経営者(慈善団体の役員は継続)に連絡先をメモしてくださいとお願いしました。現役時代の名刺は持っていましたが、引退後の連絡先は知りません。仕事での人間関係の多くはそうしたものでしょう。その方がくれたメモを後で確認すると、書いてあったのはメールアドレスと携帯番号だけでした。私より年長の方でしたのでちょっと驚きましたが、これも「通信手段の進化」(?)か、と妙に納得しました。

「手紙文化」の衰退は今更言うまでもありません。ハガキ料金の値上げもすぐそこに来ていると思っています。その先は……。 偶然ですが、前述の「現代ことば考」の隣の「文化」に作家水村美苗氏が「また一つの文化が……」(11月27日)というタイトルで着物文化の終焉について書いていました。

手紙文化はこの時代の奔流の中で生き抜いていけるのか。どのように形(表現方法)を変えていけば生き残っていけるのか。手紙文化の一つである絵手紙を支えてきた中核の方々の多くが高齢化していく中で模索が続いています。これは絵手紙に限ったことではないことはいうまでもありません。

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